器の命と循環

 

金継ぎで直した器を、毎日の暮らしの中で使ったり、洗ったりしていると、金や銀が

剥げてくることもあます。

私はそんな時に見える、器の景色がなんとも好きです。

直したての金継ぎの美しさ、使いながら変化していく姿の美しさ。

完璧なものの美しさ、完璧でないものの美しさ。

金継ぎは、壊れた器を完璧に直すことや、二度と壊れないように、

二度と変化しないようにするための行為ではありません。

金継ぎをすることによって、器の命のサイクルが始まるのです。

私はすべての瞬間の美しさを楽しんだ後、今度は何色で直そうか、

と次の美しさとの出会いにワクワクします。

皆さんも、もう十分と思うその時まで、直し、使い、変化し、また壊れる、

そういう器との関わりを楽しんでくださいね。