二匹の招き猫

二匹の招き猫

友人から、黒い招き猫を預かりました。私と会う前日に偶然割れたそうです。

持ち主は「一度、今までの厄をすべて払い、金継ぎで新しく生まれ変わりたかったのかな」と。

一先ず、麦漆で接着し、元の形を取り戻しました。ここから一月ほどかけて、ゆっくり漆が固まるのを待ちます。

どこか、遠くを見るような、真っすぐな瞳の黒猫。そういえば、我が家の招き猫にそっくりです。

彼の名前はウル。漆(うるし)のウル。漆黒のウル。ウルジュのウル。6年ほど前、漆器の木地を挽いてもらうため、山中の木地師さんを訪ねた際に、他の木地師さんのところの猫が沢山の子猫を生んだらしいと聞き、もらい受けた子です。丁度、夫と結婚して1週間目くらいでした。

  

ウルが来てから、夫も転職し、結婚した時から移住したかった美山に就職することができました。そして、二人の子供にも恵まれ、我が家に幸せを招いてくれました。我が家にとって黒猫は幸運のシンボルです。