金継ぎでの小さな欠けの治し方(銀消し粉の場合)
工程 欠けを埋める、漆を塗る、蒔絵粉を蒔く
(1日目)
- 器をよく観察して、汚がしみ込みそうな陶器はマスキングをします。
- #400のサンドペーパーを1㎝角に切ります。三つ折りにし、欠けた部分を荒らします。筆で、欠けた部分に生漆を塗り、余分な漆をティッシュで押さえ拭きします。
- 錆を作ります
- ヘラや爪楊枝を使い、錆を付けます。乾くと、少し体積が減るので少し盛気味に付けて下さい。だいたい1回で付ける錆の厚さは1~2ミリくらいです。それ以上は複数回に分けて錆を付けます。専門用語で「錆付け」と言います。
*残った錆はサランラップで保存できます。
(2日目)
- まる1日以上おいて錆が乾いたら、余分な錆をカッターか彫刻刀で削ります。乾きの目安は、指でひっかいて白い跡が出来る位です。このとき、マスキングは一度外してください。
- 形を整えたら、#のサンドペーパーに水を付け、表面を滑らかに研ぎます。専門用語で「錆研ぎ」といいます。(必要であれば、錆研ぎをする前にもう一度マスキングをして下さい。
- 綺麗に整ったら、生漆を筆で塗り、余分な漆をティッシュで押さえ拭きします。漆風呂(箱)に入れて1日乾かします。専門用語で「錆固め」といいます。
(3日目)
- 生漆が乾いたら#のサンドペーパーで軽く表面を荒らします。
- 「溜め漆」(塗用)を作ります。
- 溜め漆を塗り、漆風呂に入れて乾かします。
*漆が乾くのに、丸1日以上を目安にしてください。
*余った溜め漆はサランラップで保存できます。
(4日目)
- 溜め漆が乾いたら、#1500のサンドペーパー(又は砥草)に水を付けて研ぎます。全体的に艶が消えたらOKです。ですがこの段階で、下の錆が出ることがよくあります。錆が出てしまったら、10からやり直しです。
- 「弁柄漆」(塗用)を作ります。
- 弁柄漆を塗り、漆風呂(箱)に入れて乾かします。
*余った弁柄漆はサランラップで保存できます。
(5日目)
- 弁柄漆が乾いたら#1500のサンドペーパーで水研ぎします。
- 綺麗に研げたら、いよいよ「銀消し粉」を蒔く準備です。溜め漆をムラなく、薄く塗ります。塗りが厚いと銀粉が漆に沈んでしまいます。刷毛ムラがあると、その形のまま仕上がってしまいます。
- 薄く濡れたら5~30分くらい置いて、漆の表面が乾き始めるころ合いで銀粉を蒔きます。蒔くときは、あしらい毛棒を使います。専門用語で「粉蒔き」といいます。
- 再び5~30分くらい置いて、銀粉が漆に沈んでいないかを観察します。銀粉が沈み、漆が見えてきたら、もう一度粉を蒔きます。
- 綺麗に蒔けたら、漆風呂に入れて乾かします。
(6日目)
- 漆風呂に入れて乾燥したら、余分な銀粉を払い、真綿で磨きます。
- 爪楊枝で輪郭を整え完成です。
*粉蒔きや磨きで失敗したら14からやり直してください。
*溜め漆と弁柄漆の塗る順番
- 銀粉の場合 溜め漆→弁柄漆→溜め漆
- 金粉の場合 弁柄漆→溜め漆→弁柄漆
漆の色を交互に塗ると、塗った箇所が見やすく、塗り残しの心配が少なくなります。
蒔絵粉の下になる色が、銀の場合は黒、金の場合は赤の方が、発色良いといわれています。